【書評】多数決を疑う【書評】
目次
多数決の欠点の具体例
多数決の欠点の具体例についてはこちらの記事・動画で解説しています。
私たちが何気なく使ってきた多数決について欠点やより望ましい方法について解説しています。
出版された当時、話題になり、入試問題などにも使われるなどした記憶があります。
今読み直しても非常にわかりやすく組織の意思決定について書かれている良著です。
新書で読みやすいです。
本の概要:著者
坂井豊貴
慶應義塾大学経済学部教授。
投票制度・オークション方式・暗号通貨のインセンティブ設計を研究。
(株)デューデリ&ディール・不動産オークション技術顧問、
東京経済研究センター理事(財産管理運用担当)、読売新聞読書委員などを併任。
内容
選挙の仕組みに難点が見えてくるとき、統治の根幹が揺らぎはじめる。
選挙制度の欠陥と綻びが露呈する現在の日本。
多数決は本当に国民の意思を適切に反映しているのか?
本書では社会的選択理論の視点から、人びとの意思をよりよく集約できる選び方について考える。
多数決に代わるルールは、果たしてあるのだろうか。
目次
第1章 多数決からの脱却(多数決を見つめ直す
ボルダルール
第2章 代替案を絞り込む(コンドルセの挑戦
データの統計的処理
第3章 正しい判断は可能か(真実の判定
『社会契約論』における投票
第4章 可能性の境界へ(中位投票者定理
アローの不可能性定理
第5章 民主的ルートの強化(立法と執行、主権者と政府
小平市の都道328号線問題
多数意見は尊重されているのか?
2000年の大統領選挙
共和党:ブッシュ
民主党:アルゴア
・・・事前の世論調査ではアルゴア有利
第3の候補が登場し、主張内容はアルゴア寄りだった
結果→ブッシュの勝利(アルゴアの票を第3の候補が奪った)
単純な多数決を脱する
・ボルダルール
⇒候補者に順位をつけて加重得点を与える(単純化した説明)
1位に3点
2位に2点
3位に1点
国政選挙でボルダルールを採用している事例も有
コンドルセの方法
・ボルダルールを批判し、生まれた
後にヤング・コンドルセの最尤法となる
⇒様々”決め方”があるが、採用する方法によって結果は異なる。
真の順位・民意はどこにあるか、というのは難しい問題
書籍では、
“ペア勝者基準・ペア敗者基準・棄権防止性・中立性”の観点で評価をしている。
陪審員の話
・正しい判断をできる人間がたくさんいれば多数決(有罪・無罪)は有効
正しい判断ができる確率が0.5よりも大きければ、陪審員が多いほどよい
(大数の法則)