千葉大停電と電線・電柱地中化の是非
【2019年9月16日更新】16日現在、千葉県は8万軒で停電が続いている。さらに地域によっては月末まで復旧しないという話しである。
千葉8万軒で停電続く 電気自動車など派遣(日本テレビ系)
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20190916-00000147-nnn-bus_all
目次
2019年9月に関東を直撃した台風15号
2019年9月に関東を直撃した台風15号の影響で千葉県で大停電が発生した(している)。
この台風は千葉県内で観測史上1位の最大瞬間風速を記録した。
9日には63万戸が停電という未曾有の大停電である。
街の暗い様子やガソリンスタンドの列など、2011年3月を彷彿とさせるような街の状況である。
しかし、テレビではあまりそのことについて触れられておらず調べてみた。
なぜ停電が起きた?
報道では上記の鉄塔が倒れている映像が流れるが、実際は鉄塔は2つ根本から倒れている。
画像を見ればわかる通り、これを復旧させるのは簡単なことではないだろう。
さらに甚大な停電を引き起こした要因がある。
電柱の倒壊・損傷
これである。台風によって2000本が倒壊・損傷した。2000本である。
人間の心臓と血液の循環を考えればわかるように、動脈静脈のどこかが切れても循環は止まってしまう。
復旧が遅れている理由
復旧しようにも天候が悪く、土砂崩れによる倒木も産卵しておりなかなか現場での作業が進んでいないようである。
電線・電柱地中化の話
電柱倒壊というフレーズを聞いてふと思い出したのが電柱の地中化である。
10年ほど前に盛んに話題になった記憶があるが最近は聞いていない。
その名の通り、電柱を地下に埋めるというシンプルな発想である。
よく考えてみれば電流が流れている線がたくさん頭の上に通って生活しているのも恐ろしい。
たまに老朽化して倒れそうだったり、断線して垂れ下がっているのを見かけることもある。
電線・電柱地中化のメリット・デメリット
物事には必ず表裏・メリットデメリットがある。
メリットについて3つ挙げる。
メリット1:景観の改善
歴史的な街並みに電柱・電線は似合わない。確かにそうであろう。
例)沖縄の国際通り・鎌倉小町通・川越一番商店街
メリット2:電柱倒壊によるリスク回避
今回の千葉県停電にも通ずるが、電柱が倒壊すれば人に直撃したり、道を防ぎ緊急車両通行の妨げとなり得る。
メリット3:地震による電線破損のリスク回避
電線が地中にあることで建物が倒壊してその二次被害として断線が起こることを避けることができる。
デメリットを3つ挙げる。
デメリット1:断線した場合、場所の特定が困難
地中に埋まっていることで目でみえないので点検が困難になる。
デメリット2:万一損壊が発生した場合、復旧に時間がかかる。
地上にあれば車を走らせ、すぐ修理が可能だが地中にあることでスペース的な制約も多い。
デメリット3:コストが高い。
通常の電線網整備と比較して20倍近い費用がかかるそうだ。
メリット・デメリットまとめ
電線・電柱地中化のメリット・デメリットの考察
そんなわけでメリット・デメリットがあるわけだがメリットが上回れば地中化する価値がある。
日本の状況を見ていると地域によってまちまちで観光スポット等は景観を守るという観点で地中化が進んでいる。
しかし、他の地域では復旧時の困難さや20倍もする費用を負担できないということで進んでいないようである。
海外の電線・電柱地中化の状況
イギリス・ドイツ・フランス・シンガポール等先進国の首都では電線・電柱の地中化が100%となっている。
だが、郊外だと電柱があるなどやはりメリットとデメリットを鑑みた上で地域ごとにばらつきがあるようだ。